この記事では、着物の各部名称を解説付きで紹介していきます。
着物の各部名称
身丈
身頃の長さのことです。後ろの衿の付け根から裾までの長さになります。
いわゆる「仕立てられた着物の丈」のことで、着丈と間違いやすいので注意です。
着丈
身丈が「仕立てられた着物の丈」を表すのに対して、着物を「着付ける丈」のことをいいます。
着物の後ろ中央にある衿の付け根から裾までの丈のことですが、着付けよって変わります。
男物・女物の長襦袢・コートは着丈に仕立てます。つまり、おはしょりを取らないものは、「着丈=身丈」になるということです。
裄(ゆき)
背中心の線から袖の端までの幅のことをいいます。要するに、肩幅と袖幅を合わせたもののことです。
採寸する際は、腕を45度くらいに広げて、背中の真中から肩を通り手首、というふうに測ります。体のラインどおりに曲げて測ることがポイントです。
肩幅
背中心から袖付けまでの幅のことです。
衿肩明き(えりかたあき)
衿をつけるために、肩の部分を切り上げたところ、衿の下端の部分のことをいいます。
この部分に衿がつきます。通常、男物は9センチ、女物は5センチくらいです。
衿先
着物の衿の下端の部分のことをいいます。分かりやすく言うと、長ーい衿の一番下の部分です。
裾回しと同じ布を使って、裏衿に接ぎ合わされます。
ばち衿
女物の長着や長襦袢の衿型のひとつで、浴衣や普段着用の着物によく用いられる型です。衿肩まわりより衿先にいくにしたがって、衿幅が広くなっています。
形が三味線のばちに似ていることが名前の由来です。
広衿
衿型の一つで、普通の衿幅の2倍の広さで仕立てられたものです。着用時には半分に折ります。
衿幅の自由がきくため胸元がはだけにくく、大柄な人や胸の広い人は、ゆったりと合わせられるため着崩れしにくいです。
かけ衿
着物の衿の部分の汚れを防ぐために、本衿の上にかける衿のことです。
同じ布の場合と別の布を使うことがあります。着物の衿にかけるものは、表布と同じで「共衿」といいます。
半纏の衿の黒い部分を思い出してもらうと、「ああ~あれか!」とイメージしやすいかと思います。
袖丈
袖の長さのことです。袖山から袖下までの長さを表します。
年齢や着物の種類によって、長さは様々です。
慣れてないと、袖「幅」と勘違いしますが、「幅」は横方向です。「振袖」は袖丈が長い、と説明されると分かりやすいと思います。
袖幅
袖付けから袖口までのことをいいます。
簡単に言うと、袖の付け根から袖の端(手が出るところ)までの長さです。
袖付け
袖を身ごろに縫い付けること、または、袖と身頃が接続する部分のことです。「袖付き」ともいい、「袖付き衣」とは袖のある衣服のことです。
袖口
腕を通すところの寸法、または、袖の手を出すところのことです。
袖下
袖付けの下端から、袖の下端までのことをいいます。
つまり、袂(たもと)の底の部分、袖の底の部分のことです。
袖山
袖の一番上の部分のことをいいます。
袖の前身頃と後ろ身頃の境界線(折り目)のことです。
身八つ口(みやつくち)
女物の着物の身頃のわきの空いている部分のことです。衿を整えるなど、着物の着崩れを直すために手を差し入れられる場所です。
男性の着物にはありません。
衽(おくみ)
着物の前身頃に縫い付ける18センチくらいの布のことをいいます。
着物は前を重ねて着るため、横幅が狭くなってしまうのを補うためにつけられています。
現代の着物の形になった戦国時代ごろにできたそうで、衽の出現により着物が着やすくなり、美しい着姿になったと言われています。
衽先
衽の上端のことで、衿と身頃の細く尖っている部分のことです。「剣先」とも呼ばれています。
前身頃
着物の前の身頃のことで、袖と衽の間の肩から裾までのことをいいます。
右前身頃(下前)と左前身頃(上前)があります。
後ろ身頃
着物の後ろの身頃のことで、肩山から後ろ側の部分のことをいいます。
後ろ幅は背縫いから脇縫いまでの幅のことです。
八掛(はっかけ)
着物の裾や袖口の裏地のことです。「裾回し」ともいいます。
表の着物地と調和した色や質感の生地を選ぶことが大事です。初心者は着物と同系色にしておくと無難です。反対色などは上級者向きになります。
ちらりと見えるだけの場所ですが、その人のセンスが表れるところです。
おはしょり
着物を着るとき、裾を持ち上げて腰紐を結んだときに身丈より長い部分を胴でたくし上げて調整しますが、そのたくし上げた部分のことをいいます。
着崩れた時に、この部分を引っ張ると胸元が引き締まり、背中のしわも伸びます。
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